広島弁護士会

原告が上記信用組合に提出した借入金申込書には,既に同信用組合か ら946万円の融資を受けたが,本件土地Aを6357万円で落札した ので,物件取得費及び経費として7500万円の借入を申し込むもので あること,本件土地Aの北側部分(791.63坪)は,愛知県で開催 される万国博覧会の会場へ向かう高架式自動車専用道路の拡幅工事部分 に含まれていること,愛知県の買収担当者に原告が本件土地Aを落札し た旨連絡したところ,収用予定地の買収価格は既に決まっており,正式 には原告への所有権移転後に提示するとのことであったが,坪当たり2 5万円から30万円と推定されること,買収に係る補償金は平成12年 1月には入金されると思われること,収用対象外の土地についても,他 の収用者用の代替地として,愛知県が前記金額と同程度にて買い取る予 定であり,その入金には約6か月を要すること,収用による譲渡益の税 務控除を利用するため,本件土地Aの登記名義人は原告の代表者を含め た個人2名ほどにする予定であることなどが記載されていた。
さらに同 書には,取得費等は,落札予定価格6357万円に諸費用を含めた75 10万円になること,売却予定利益は,坪当たり25万円で買収された 場合には4692万円,坪当たり30万円で買収された場合には713 4万円になる旨の記載もあった(乙10号証)。
イ本件取引と愛知県による買収の経緯
(ア) 原告は平成11年11月9日,朝銀中部信用組合から7500万円の 融資を受け,同日,前記競売の売却代金6357万円の残額を納付して 本件土地Aを取得した。
これを受けて,愛知県の担当者は,同月29日, 原告との間で,本件土地Aの一部のX部分(792.98坪)の買収に ついて協議を開始した。
上記担当者は,原告の上記買収関係の窓口である旨申し出たEに対し, 1坪当たり8万5600円の買収価格を提示したが,Eは,1坪当たり 10万4800円で取引された他の宅地の事例を引き合いに出して,提 示された上記の買収価格が低い原因が本件土地Aが宅地ではないことに あるのであれば,宅地開発を行うなどと述べて買収単価の増額見直しを 迫るとともに,残地の買取又は他への買取あっせん方を要望した(乙1 1号証,12号証)。
買収協議は,同年12月16日にも行われたが,Eは,なお買収単価 の見直しを求め,単価の見直しが確実になるためには,宅地開発も辞さ ないとの意向を示した(乙13号証)。
(イ) 原告は,上記第2回目の買収協議の翌日である同月17日,本件土地 A全部をDに代金額7000万円(1?当たり約4万3370円)で売 却し(本件取引),同日,同社への所有権移転登記手続をした。
なお,同日,原告とDとの間で「受渡し方法に関する覚書」と題する 書面が取り交わされ,原告が本件土地Aに設定した根抵当権(平成11 年11月9日受付第26655号根抵当権,根抵当権者朝銀中部信用組 合,極度額7500万円)を解除することができないので,Dから原告 への上記売買代金の支払は,原告が上記根抵当権を解除したときにする こととされ,原告においては,上記売買代金債権は,原告からDに対す る貸付金として経理処理がなされ,その決済は行われなかった(甲3号 証,6号証,9号証)。
(ウ) 本件取引後の平成12年1月24日に行われた第3回目の買収協議で は,Eのほか,Dの代表者であるHが立ち会い,Eらは,県側の従来の 提示額である1坪当たり8万5600円での売却を承諾した。
その後,同年2月7日にも買収協議が行われ,同月16日,売主をD, 買主を県公社として,本件土地Aのうち本件土地Bの部分(543.9 7坪)について代金額を4656万3832円とする売買契約が締結さ れ,同年3月16日,本件土地Aから本件土地Bを分筆の上,愛知県に 対する所有権移転登記がなされた(甲4号証,7号証,乙14号証)。

このページの先頭へ